不安の足音

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「でも彼氏と行かないでいいの?」 「ダーリンはその日仕事なんです。あ…でも先輩と行くの本当に楽しみなんですよ」 華ちゃんはそう言うと「エヘヘ」と笑った。 私はそんな華ちゃんを見ながら「はぁ」と溜息をついた。 …全く調子がいいんだから。 ちゃんと彼氏に都合を聞いているんじゃん。 仕事じゃしょうがないけど、都合が良ければ断るつもりだったんでしょ? 私は代理ってとこだね。 まぁ花火見るの楽しみだからいいんだけどね。 「そう言う事にしておきましょう」 私は肩を竦めながら言った。 「でも先輩。イケメンダーリンとは行かないんですか?」 華ちゃんは不思議そうな顔をしながら言った。 そういえばコウに花火大会に行く事を話していなかった。 まぁその話が出たのも結婚した当時で、今みたくコウと一緒にいる時間も少なかったし。 それに花火大会までかなりの日数もあったし。 本当はコウと行きたいけど…。 でも華ちゃんとは前から約束している。 女子向けの花火大会だし、たまには女同士の花火もいいかなって思った。
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