不安の足音

18/25
前へ
/25ページ
次へ
「もしもし?…うん…うん…えっ?今から?…無理だよぉ、だって今先輩と一緒だもん」 華ちゃんは私に背を向け隠れるように小さい声で話していた。 小さい声のせいか、いつもの華ちゃんより更に甘ったるく感じる。 彼氏とはこんな感じで話すんだぁ。可愛いなぁ。 私はビールをチビチビと飲みながら華ちゃんをのんびりと見ていた。 でも華ちゃんの声が少し困っているように聞こえるけど…。 「どうしたの?」 私は通話の途中だけど華ちゃんに話しかけた。 すると華ちゃんは彼氏に「ちょっと待って」と言うと携帯を手で押さえながら私を見た。 「ダーリンが今から会いたいって言うんです」 その顔は困っているようにも見えるけど…嬉しそうにも見える。 まぁ会いたいって言われて嬉しいんだろうね。 「あらあら。良かったじゃん」 「…でもぉ」 華ちゃんは申し訳なさそうな顔をしながら言った。 その顔からきっと私に気を使っていると思った。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1310人が本棚に入れています
本棚に追加