不安の足音

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華ちゃんは自分から誘ってきたから申し訳ないと思っているのだろう。 誘っておきながら「帰ります」って言えなさそうだもんね、華ちゃんは。 でもそんな気を使わなくてもいいのに。 それにせっかく彼氏が会いたいって言ってくれているんだし。 彼氏も華ちゃんと仲直りしたいんだよ。 こんないいチャンスないっ! 私は今すぐにでも彼氏に会いに行って欲しかった。 「何言ってんの!彼氏に気持ち聞けるいいチャンスだよ」 「…」 華ちゃんはまだ申し訳なく思っているのか黙っていた。 私は何も言わない華ちゃんを急きたてる。 「ほらほら。とりあえず彼氏に今から帰るって伝えな」 すると華ちゃんは私の気持ちに応えるように大きく頷くと「今から行くね」と彼氏に伝え電話を切る。 「じゃあ帰ろうか、結構飲んだしお腹もいっぱいだし」 私は電話が終わるのを見届けると伝票を持ちながら言った。 「心もいっぱいになりました」 華ちゃんはお礼のようにとびきりの笑顔で言った。
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