第12話

不安の足音

雑誌の載っている理沙さんはこの前会った時とは違いスーツ姿だった。

まぁ仕事姿なんだからスーツなんだろうけどね。

でも相変わらず美人だよなぁ。

その顔は仕事ができるんだろうなと思ってしまう凛々しさがある。

私は理沙さんの写真を見ながら思うと記事を読んだ。

記事によると理沙さんは大学を卒業後、コウの会社に入社。

それから退社をして今の会社を設立。

今は少人数ながらも大手企業のデザインを引き受けている企業に成長との事。

将来の夢は「海外で活躍する事」…かぁ。

その瞬間、前にコウと話した事を思い出した。

確かあれはコウの仕事を見てた時の会話だ。

『でも凄いよ、こういうの作れるって。コウは将来の夢ってあるの？』

『そうだなぁ…海外で活躍する事かな』

コウは海外で活躍したいって言ってた。

同じ事を理沙さんも将来の夢としている。

二人は同じ夢を抱いていたんだ。

だから恋人であり同じ志を持った同志でもあったのだろう。

…って何で冷静になれてんの？

この前はショックで動揺してたのに…。

時間が解決してくれたのか私はこの前とは違い二人の事を冷静に考える事が出来てた。