不安の足音

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駅に着き改札を出る頃には11時を過ぎていて駅前は静かであまり人がいなかった。 いても仕事帰りのサラリーマンか酔っ払いか。 駅前にある多くの店も閉店なのかどんどん明かりが消えていく。 あまり女の人は居なく、いくら家が近いとはいえ一人で歩くのは少し怖く感じる。 まぁこの年齢だし声をかけられるって事はないと思うけど…。 何かあったら嫌だから早く家に帰ろう。 私は酔いで頭がぼんやりとしながらもスピードを上げて歩き出した。 すると何処からか声が聞こえてくる。 「そこの酔っ払い」 私は突然声をかけられてビクッとした。 酔っ払いって…これって私だよね? ちょっとマジで怖いんだけど…。 でもシカトして逆切れされても怖いし。 私はそして恐る恐るその声のする方を見ると…見慣れた悪戯顔が私の目の前にある。 その顔を見た瞬間、いつもだったらイラッとするはずなのに今日はホッとした。 「あ…コウ」 その声の主…コウは私を悪戯の顔で見ていた。 「ったく沢山飲んだな?顔真っ赤」 コウは私に近づくと顔をまじまじと見ながら言った。
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