不安の足音-2

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この言い方は肯定にも聞こえるし否定にも聞こえるだろう。 卑怯にも思えるだろう。 本当は片思いをしている。 すぐ横にいるコウ。あなたにね。 でもここでは言えない。 私に気がないのをわかってしまったから。 言う事で私達の関係が壊れてしまうのが怖かったから。 「なんだよそれ」 コウは納得のいかない顔をしながら言った。 気持ちは分かるけど、でも言えない。 だからといって嘘はつきたくないからはぐらかすように言った。 「いいのいいの。そう言うコウは?」 「俺?俺かぁ…」 私は黙ってコウを見つめた。 コウがどんな答えを言うか気になったからだ。 もしここでいると言ったら私はどうなるのだろう? 私は自分で聞きながら不安になっていた。 コウはそんな私に「フッ」と笑った。 そして肩を竦めながら言った。 「さぁどうなんだろうな」
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