不安の足音-2

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コウと入ったラーメン屋は行列ができるようなお店ではなくて普通の中華料理店だった。 その店は昔からある中華料理店といった感じでカウンターと少しのテーブル席、テーブルの下には漫画や新聞、奥に小さなテレビがあってどちらかというとサラリーマンが一人で入るような店だ。 たぶん女子は好んで入らないだろう。 毎日この駅を使っているのに、こんなお店があるなんて知らなかった。 でもコウがこの店に来るんだと新しい発見ができて嬉しかった。 店に入ると「いらっしゃーい」と店員らしきおじさんの声が聞こえる。 私達が入った時はテーブル席は空いてなくカウンターに並んで座る事にした。 「とりあえずビール」 コウは水が運ばれると同時に店員に注文する。 すると店員はチラッと私を見るとコウに聞いた。 「グラスは?」 「そうだなぁ…」 「おじさん2つ」 私はコウが言い終わる前にピースサインをしながら店員に言った。 コウはそんな私に呆気にとられて何も言えないようだ。 店員は「あいよっ」と元気に言うと瓶ビールとグラスと2つテーブルに置く。 「はいっ。飲もっ」 私はグラスにビールを注ぐとコウに渡した。
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