不安の足音-2

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「じゃあ俺、もうひと仕事するわ」 「えっ…仕事?これから?」 私はコウの言葉に驚いた顔をした。 これから仕事って… もう12時超えているんだよ。 「そっ。あと少しだから今のうちにやっておく」 「うん…ごめん。付き合わせちゃって」 仕事があるのなら言ってくれればよかったのに。 だったら中華料理屋にあんなに長くいなかったし、もっと早く帰ってたのに。 私は付き合わせてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいだった。 コウはそんな私に微笑むと私の頭をガシガシと強く撫でながら言った。 「ラーメン食いに行こうって言ったの俺だろ?だから気にするなって。オヤスミ」 そして言い終わるとコウは私の顔を見ずに自分の部屋へと戻って行く。 「うん。おやすみ」 私はコウの後姿を見ながら言った。 でもその声は届いていない。 コウは振り向きもせずにリビングのドアを閉めた。 パタンとドアが閉まる音だけがリビングに響く。 リビングに一人残された私はしばらくその場に立ち竦んでいた。 この時コウがどんな思いでいたのか。 私はそんなコウの思いに全く気づいてあげる事が出来なかった。 不安の足音に。
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