不安の足音-2

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華ちゃんの話をしながらふとさっき見た雑誌の事を思い出していた。 理沙さんが紹介されていた経済誌だ。 さっきも思ったけど今、こうしてコウを目の前にしても動揺しなくなった自分がいる。 それは自分の中で理沙さんを受け止めようとしているんだ。 コウとの結婚生活を大切にしたいから。 だから理紗さんの事も笑って話せるようになりたい。 と同時にこれはいいチャンスになると思った。 お酒の酔いに任せる部分もあるけど、今なら話す事が出来る。 だから私は思い切って話を切り出した。 「ねえコウ」 「ん?」 「雑誌に理沙さんが載ってたよ」 「えっ?」 コウは目を見開き驚いた顔で私を見た。 まさか理沙さんの話をするとは思ってなかったのだろう。 たぶんコウはもう理沙さんの話はしたくないと思う。 でも話を止めるわけにはいかない。 コウを責めるわけでもない。 ただコウの過去を受け止めたいから。 だから私は淡々と話を続けた。
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