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いったいどれくらいの時間キスをしていたのだろう?
長かったかもしれないし、一瞬だったかもしれない。
キスをしている時は何も考える事が出来なくて。
ただコウの唇は柔らかくて温かくて。
そのキスは優しくて…凄く気持ち良かった。
唇が離れた後、私はぼんやりとコウを見ていた。
コウも黙って私を見つめているけど、その顔から何を考えているのかわからない。
当然キスした理由も。
でもコウは私に気持ちがないんだよね?
女として見ていないんだよね?
だったら…どうしてキスしたの?
私はコウの顔をじっと見るとその瞳には花火が映っていた。
その花火はあまりにも綺麗で私はコウを見ながらその瞳に映る花火を見ていた。
ねぇ…コウ。
あなたの瞳に映っているのは誰?
するとコウは一瞬微笑み、夜空を見上げながら言った。
「花火見ないの?」
その言い方はいつものコウそのもので、まるでさっきのキスが嘘のように思える。
「えっ?あ、ああ…見るっ」
私はコウの声に慌てて顔を上げると大きな花火が夜空一面に広がっていた。
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