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「馬子にも衣装って感じだよな」
コウはそう言うと前を見ながら「あはは」と笑った。
その顔は意地悪そのもので、そんなコウに私はイラッとする。
…やっぱりバカにしている。
「もう!何よ」
私は唇を尖らせながら言った。
するとコウは視線を私に移すと全身を見ながら言った。
「でも似合っている」
「えっ?」
「浴衣。凄く似合っているよ」
コウは優しく微笑みながら言った。
…今、浴衣が似合っているって言ったよね?
興味なかったんじゃないの?
家で回って見せた時に全然見てくれなかったじゃない。
馬子にも衣装って言ってたし。
私はコウに褒められた事が意外すぎて驚いてしまった。
と同時に嬉しさと恥ずかしさが混在して、私はコウをまともに見る事が出来なかった。
「あ…ありがとう」
私は顔を隠すように下を向きながら言った。
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