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「ごめん」
「おまえが謝る事じゃねーよ」
「でも…」
「俺がちゃんとおまえへの気持ちを言わなかったのがいけないんだよ」
「そんな事ない。私だって…コウに気持ち伝えられなかった。こんなに好きなのに…」
私だってコウの言葉態度で一喜一憂して、ちゃんと気持ちを伝えてなかった。
だからコウだけが謝る事はない。私も悪いんだから。
するとコウは抱きしめる力を緩め、そっと私を離すと真っすぐに見つめながら言った。
「もういい。こうしておまえはここにいるから」
見つめるその瞳には私が映っている。
コウの瞳に映る人…それは私だったんだ。
そう思うと胸がキュンとして温かい気持ちになり、私は小さく「うん」と頷いた。
…コウ、私はここにいるよ。
するとコウは躊躇するように「ミウ……」と私を呼んだ。
「ん?」
コウがそんな風に躊躇するように呼ぶなんて珍しい。
私はどうしたのかな?と思いながら返事をする。
するとコウは私の耳元に唇を寄せると囁くように言った。
「………抱いていい?」
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