あなたの瞳に映るもの-2

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それにここは私の部屋じゃない。 この広いベットがある部屋は…コウの部屋だ。 私は思考回路の鈍い状態でそっと顔を上げて隣に寝ている人を見た。 当然だが隣ではコウが気持ち良さそうに寝ている。 引き締まったフェイスラインに長い睫毛にスッとした鼻筋に薄い唇。 こんな整った顔が近くにあったら、いつもだったらカッコいいなぁとか思うけど。 でも今の私には現実と夢が混在していてそれどころではなかった。 だって隣で寝ているコウは…服着てないから。 確かに昨夜コウとセックスしている夢を見たけど…。 これって夢じゃなかったの? ちょ、ちょっと待って。じゃあ私も…全…裸? 私はハッとすると慌てて自分の状況を確認した。 手探りで自分の体を触るが服の感触がない。当然下着も…。 うわぁ裸だ。 わわわ!!とりあえず服着ないと。 私は恥ずかしくなり慌てて自分の服を探した。 しかし近くに服はなく、ベットの下を見ると昨日着ていた浴衣と下着が脱ぎ棄てられていた。 …そっか浴衣だったんだ。って浴衣じゃダメじゃん。 とりあえず下着だけでも。 下着を取ろうとベットの下に手を伸ばしながら胸元に光るものに気づくと動きが止まった。 それは夢の中でコウからもらったネックレスだった。 私はネックレスを軽く触りながら呟いた。 「…夢じゃなかったんだ」
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