あなたの瞳に映るもの-2

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コウの指が浴衣の襟元からゆっくりと中に入ってくる。 と同時に聞き覚えのある着信音が聞こえた。 …私の携帯の着信音だ。 コウもその着信音にビクッとするとパッと身体を離して私を見た。 その目は本当に驚いているようで私はバツが悪く感じる。 「携帯?」 「…うん。私の携帯。電話が鳴ってる」 私はキッチンのテーブルに置いてある携帯を指差しながら言った。 携帯は着信音と共に点滅していて、まるで私を呼んでいるように見える。 でも私は出ようとしなかった。 だって…せっかくいい感じだったのに…。 それにコウに悪い。 でもコウはもうその気がなくなったのかあっさりと「出れば?」と言った。 その顔はいつものコウで呆れているようにも見える。 「あ…うん。ごめん」 私は申し訳なさそうに言うと立ち上がりキッチンへと向かった。 そしてテーブルに置いてある携帯を手にした。 携帯のディスプレイには「華ちゃん」と表示してある。 …なんでこんな時に。 全く…華ちゃんは…。 私は「はぁ」と溜息をつくと通話ボタンを押した。
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