あなたの瞳に映るもの-2

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私はコウの部屋に向かいながらこの前の会話を思い出していた。 行為が終わってベットでぐったりしている私をコウはぎゅっと抱き締めて耳元で囁いた。 「これからは俺の部屋で寝ろよ」 その囁きは甘くて。 もうその時は恥ずかしさとかも無くなり、ただコウにずっと触れていたい、いつも一緒にいたいと思った。 だから私はコウの言いなりになったように頷いてた。 「うん。…いいよ」 私はコウの部屋に入ると明りをつけて辺りを見回した。 相変わらず必要最小限のものしかない部屋。 大きなベットにデスクと本棚とクローゼット。 デスクにはパソコンが本棚には沢山の書籍がありそれらがきちんと整頓されている。 私は「コウはここで仕事をしているんだよね」と思いながらデスクを見ているとある写真に目が留まった。 「あれ?これって…」 それはシンプルな写真立てに入れられていて、とても大事そうにしているのがよくわかる。 私はその写真を手に取るとぼんやりと眺めた。 …あ。私だ。 その写真はまだ幼い私とコウが写っている。 今と変わらず無愛想なコウと隣で目を真っ赤にしている私。 「コウ…大事に持っていたんだ」 そう思うと胸の奥がジーンと熱くなり、私は写真を胸にあてて目を瞑った。
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