あなたの瞳に映るもの-2

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ふと幼き頃の記憶が蘇る。 あの写真は…確か幼稚園の頃だ。 幼稚園の頃の私は大人しくてあまり感情を表に出さない子だった。 そんな私にしては珍しく大声を出した時があった。 コウと同じクラスの子がやたらとコウにベタベタしていたから。 そんなの見慣れているはずなのに、いつもなら黙っているのに。 私は気に入らなかった。 『触らないで!コウは私のなんだから!』 そう言って大粒の涙を流しながら泣いたんだよなぁ。 周りのみんながアタフタしてね。 その子もビックリして泣きながら帰ったっけ。 ここまでは覚えていたけど。 考えてみるとこの時はこれで終わりじゃなかった。 『もう泣かないで。俺はミウと一緒にいるよ』 大泣きする私をコウは抱きしめながら言ってくれたんだ。 …そっか。 だからコウはいつも一緒にいてくれたんだ。 コウはいつも私をバカにして。意地悪して。 だからそんなコウが嫌いだったのに。 コウも私が嫌いだと思ってたのに。 それは私が一方的に勘違いしていたのかもしれない。
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