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「そうなんですかぁ。良かった」
華ちゃんは安心したように言った。
きっと私が花火大会に行けた事にホッとしているのだろう。
あの話しぶりからドタキャンした事を後悔しているのがよくわかった。
そりゃあ最初は嫌な気分だったけど。
でもね華ちゃんがドタキャンしたからコウと花火に行けたんだよ。
それにコウの気持ちも知る事が出来た。
だからドタキャンした事は気にしないでいいんだよ。
いや…逆に感謝しなきゃいけない。
華ちゃんありがとう…って言えないけどね。
「うん」
私はお礼が言えない代わりに『ありがとう』の心をこめて言った。
するとさっき出て行ったコウがリビングに戻ってきた。
コウはまだ電話中だとわかると黙って私の後ろに移動する。
私は『なんで後ろに?』と思っていると突然背後からぎゅっと抱きしめられた。
抱きしめられる事でコウの胸に私の背中がトンっとぶつかる。
コウの身体は温かくて、その心地よさに電話に集中できなくなる。
そんな私にコウは更に追い打ちをかけるようにうなじや首筋に「チュ」とキスをしてきた。
その唇は温かいのに触れた時はゾクッとして電話中だというのを忘れてしまう。
「あんっ…」
私は電話中だというのにまた変な声を出してしまった。
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