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廊下をフラフラ歩いているとテラスに出た。
テラスは結婚パーティー会場のような賑わいもなくひっそりとしていて冷たい風が吹くと肌がひやっと冷たく感じる。
私はゆっくりと奥に進むと手すりに寄りかかった。
そしてぼんやりと夜空を見上げた。
もうこの時間の空は暗くなっていて月が綺麗に輝いている。
…さっきのコウ楽しそうだったよなぁ。
まぁ久しぶりに友人にあったらそうなるよね。
でも…あの人、あんなにコウにベタベタしなくてもいいのに。
もしかして元カノなのかな?
そういえば理紗さんの事は聞いていたけど、それ以前の事って聞いた事がなかった。
あの容姿端麗男だもん。
理紗さんの前にも彼女がいたっておかしくない。
コウにも過去はあるんだし、そんな事に一々気にしてたら気が持たないのもわかる。
それに私は妻なんだしコウの気持ちも知っているんだからもっと自信を持てばいいのもわかる。
全部分かっているのに…。
でもやっぱり気にしちゃう。
両思いなのになんでこんなに切ないの?
ああ…こんなに切なくなるのなら片思いの方が楽かもって、まるで子供だ。
私は夜空を見ながら自分の子供っぽさに嫌気がさし「はぁ」と溜息をつき、くるっと後ろを向いた。
そして背中を手すりにつけると寄りかかった。
すると奥から人の気配を感じた。
…えっ!?誰かいたの?
私が慌てて見るとテラスの端の方に一人の女性が手すりに寄りかかるように夜空を見ていた。
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