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私はお昼休みから自席に戻ると焦点の合わない目でパソコンをぼんやりと見ていた。
周りでは休憩時間から戻ってきた同僚が自席に戻り仕事を再開しようしている。
でも私はさっき華ちゃんと話した事を考えると仕事をする気にはなれなかった。
「私の声を聞きたい…かぁ…」
華ちゃんはコウが私の声を聞きたいと思っていると言ってた。
もしそれが本当なら私も話したいし、仕事終わったら電話してみようかな。
とりあえず声聞けるしね。
でも電話かぁ…って考えてみたらコウに電話した事って殆どないかも。
メールも飲んで帰りが遅くなる時じゃないとしない。
その時も業務的なメールばかりだし。
そっか。コウとはどちらかと言うと言葉でコミュニケーションをとっていたんだ。
だから数日話していないだけでこんなに寂しく感じるんだ。
でも…仕事中に電話って迷惑じゃないかなぁ…。
うーん…悩む。
すると隣の席からの視線を感じた。
私は視線の感じる方へ振り向くと早坂さんが顔を覗き込むようにして見ている。
「何?どうかした?」
「あ…なんでもないです」
私は手を振りながら「大丈夫」と笑顔を見せた。
でも早坂さんには通用しないみたいだ。
全てお見通しって顔で私を見ている。
「そんな事ないでしょ?話し聞くよ」
早坂さんはそう言うとニッコリと微笑んだ。
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