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「喧嘩でもした?」
早坂さんは意外そうな顔をしながら言った。
やっぱりコウの事を相談すると思ってなかったようだ。
「いや、そうじゃなくて。ここ最近ずっと話してないんです」
「どうして?」
「仕事が忙しいらしくて」
「そうなんだ」
「でもやっぱり声を聞きたいと思って…だから電話くらいだったらと思うんですけど」
「別にいいんじゃない?電話しても」
早坂さんはあっさりと答えるとコーヒーを口に運んだ。
そしてカウンターの目の前にある窓ガラスに視線を移すとぼんやりと外を見ていた。
その顔は「そんな事で悩んでいたの?」って軽視しているようにも見える。
私はそんな早坂さんを見ながら相談した事を後悔した。
…そりゃあそうだよね。
声を聞きたいから電話してもいいか?って相談したらすればいいって答えるに決まっている。
早坂さんはこんなくだらない相談きっと呆れただろう。
私は早坂さんを見る事が出来ずに下を向きながら言った。
「そうですよね。電話してみようかな…ははっ」
すると早坂さんは視線を外に向けたまま言った。
「でも話もできない位に忙しいんだよね?」
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