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早坂さんは優しく微笑みながら私を真っすぐに見つめていた。
その瞳はいつもの爽やかさに加えて包み込むような優しくて。
でも強い意志を持っていて逃がそうとしない。
私は捕われたようにただ見つめ返すしかできなかった。
すると早坂さんはスッと手を伸ばすと私の眉間を軽く触りながら言った。
「眉間にシワ寄ってる」
「えっ…」
早坂さんの指が私の顔に触れている。
それは愛おしいものに触れるように優しくて。
きっと好きな人からだったら嬉しい事だろう。
もっと触れて欲しいと思うだろう。
でも私の心は困惑していた。
身体は拒絶していた。
だって私が求めている人は早坂さんじゃないから。
…コウだから。
コウが好きだから。
だから気がつくと私は身体をパッと離し距離を開けていた。
そして真顔のまま早坂さんを見ていた。
…早坂さんどうして?
早坂さんは一瞬悲しそうに微笑むと視線を外に移し、ポツリと言った。
「ゴメン。俺、嫌な奴だから」
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