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「えっ?」
…嫌な奴って、どういうこと?
私は早坂さんの言葉の意味がわからずマジマジと顔を見てしまった。
早坂さんはそんな私を無視するかのように視線を外から移そうとしない。
その顔は無表情で何を考えているのかわからなかった。
「さっき言ったのは俺の意地悪」
「…意地悪?」
「斉藤さんの話を聞いてたら困らせたくなった」
「どうして?」
「本当にダンナさんの事が好きなんだなって思ってさ」
早坂さんはそう言うとやっと視線を私に向けてくれた。
その顔は何か吹っ切れたような感じでいつもの爽やかな早坂さんだった。
私はその表情に戻った事に安心しつつも、でもだからって「はい。大好きなんです」って言うのも恥ずかしい。
だから黙っていると早坂さんは続けて話した。
「普通に考えれば電話すればいいだけだろ?なのに迷惑だとかなんて今どきの高校生だってそうは思わないよ」
そう言うと早坂さんは「ハハッ」と笑った。
今どきの高校生だってそうは思わない。
確かに冷静になって考えるとその通りだ。
「う…」
「まるで付き合いたての恋人みたい」
早坂さんはそんな私を面白がるように悪戯の顔をしながら言った。
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