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早坂さんと駅前で別れると、早速コウに電話する事にした。
私は壁にもたれると鞄から携帯電話を取り出した。
そしてアドレス帳からコウの名前を探す。
携帯電話を持つ手は震えていて緊張しているんだと自分でもわかった。
だって久しぶりなんだもん。コウの声を聞くの。
コウと話せると思うと嬉しい…けど。
ただ…コウがどんな反応をするか。
早坂さんは「どんなに忙しくても嬉しい」と言ってたけど、コウは違うかもしれない。
忙しいから電話するなって怒るかもしれない。
もしそうだったらどうしよう…。
私の心は嬉しさと不安が半分ずつ支配していた。
でもだからってここで止める訳にはいかない。
せっかく華ちゃんや早坂さんが背中を押してくれたんだから。
私はアドレス帳からコウの名前を見つけると一度「はぁ」と深呼吸をしてから発信ボタンを押した。
トゥルルル……。トゥルルル……。
数回のコールが鳴るがコウが出る気配は一向にない。
…忙しいのかな?
まぁコウだって仕事中なんだし、打ち合わせだったら尚更電話に出る事は出来ないだろう。
私はなかなか電話に出ないコウを待ちながらどうしようか考えてた。
ここで電話を切ってもきっとコウの事だから着信履歴には私の名前が残るんだから後で電話をかけてくるだろ。
でもそれじゃあコウに申し訳ない。だって仕事を中断させてしまうから。
それに待っていればコウが出るかもしれないし、ダメでもあと数回コールしたら留守番電話につながる。
だから留守番電話だったら電話をかけ直さなくていい様な適当なメッセージを残せばいい。
私は夜空を眺めながら半ば諦めた状態でいると突然コール音がピタッと聞こえなくなった。
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