コウの夢

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私はコウの「どうした?」の言葉に何て答えればいいのか躊躇していた。 だって電話の用件なんてないから。 声を聞きたかったから。寂しかったから電話した。 って正直に言えばいいのに、どこか恥ずかしくて。 だってまるで私だけが寂しがっているように思えてしまうから。 そんなのコウに知られたくない。 素直になれない私が嫌だなぁと思いつつ、適当に誤魔化す事にした。 「えっと…夕御飯食べた?」 「はぁ?まだだけど」 コウは私の言葉に呆れたのか拍子の抜けた声で答えた。 そりゃあそうだろう。久しぶりの会話が夕御飯食べた?なんか可笑しすぎる。 でも私にはそういう他愛ない会話の方が楽だった。 「ちゃんと食べないとダメだよ。夜中にお腹空いちゃうよ」 「わかった。なんか適当に食べるよ」 コウはそう言うと「フフッ」と笑った。 私は短い会話だけど満足していた。 …もう十分だ。 それにコウだって仕事を中断してくれている。 だからこれ以上長く話すのも申し訳ないと思い、電話を終わらせようと思った。 「うん、そうして。それじゃあお仕事がんばってね」 「ミウ」 電話を切ろうとするとコウは私を呼び止めた。
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