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私はその夜、妙にドキドキして落ち着かなかった。
夕食を自分の好物にしても。
お風呂に入ってゆっくり温まっても。
リビングでビールを飲みながらテレビを見てても…落ち着かない。
どこか上の空で心がふわふわ浮いている。
理由はもちろん分かっている。
コウだ。
さっきの電話での会話が耳に残っていて、頭の中をぐるぐると駆け回る。
『やっぱり声だけじゃダメだ。ミウに会いたい』
ミウに会いたいって…。
てっきり私だけだと思ってたのに、コウもそう思っていたんだ。
凄く嬉しいよ。
嬉しくて思い出しただけで頭がポーっと熱くなってくる。
それにもうすぐ終電の時間だ。
遅くても終電には帰るとコウは言ってたから。
そう思うとソワソワしちゃって落ち着かなかった。
すると携帯からメール音が聞こえてきた。
私は慌てて携帯をチェックするとコウからのメールだった。
『駅に着いた』
そのメールは短いものだけど、私はすごく嬉しかった。
きっとコウは私に気を使ってくれたのだろう。
だって今までそんなメールくれた事なかったから。
そんなコウの気持ちが嬉しくて。
私は気がつくと、携帯電話を手にしたまま家を飛び出していた。
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