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「で、仕事は大丈夫なの?」
私は背中を向けたままコウに話しかけた。
このまま話すのもいいかなと思ったからだ。
「ん。終わった」
コウもそう思っているのかそのままの体勢で言った。
ちょうどコウの唇が私のうなじに触れる位置にあって唇が触れる度にくすぐったく感じる。
でもそれは笑っちゃうようなくすぐったさではなくて、触れていて欲しいと思うような心地良さがある。
「ならいいけど。でも忙しいんだね」
「明日、朝一から打ち合わせ」
「打ち合わせって、新年早々から?」
「そっ。今月末にプレゼンがあるからその準備」
「うわっ大変。で、今度は何のデザインをしているの?」
「今度海外で発売する抹茶ラテのパッケージ」
海外の仕事と聞いて私は嬉しくてしょうがなかった。
だって海外での活躍はコウの夢だもん。
だから私は自分の事のように嬉しくてはしゃぐように言った。
「海外で発売するって…それって凄くない?だってコウ前に言ってたじゃん海外で活動したいって。夢に近付けるんじゃない?」
「そうだなぁ。できたらな」
でもコウの声は、はしゃぐ私とは逆に何処か元気がなさそうだった。
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