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店内に入るとそこは別世界のようだった
数々の宝石が至る所に飾られていてそれらに目を奪われる。
私は凄いなぁ綺麗だなぁと思いつつもこの場から離れたい気分になった。
…だって場違いだもん。こんな高価な店。
もしかしてコウは私に何かプレゼントしようとしているの?好きなの選べよって。
それって嬉しいけど、だったら…適当な値段の物を選ぼう。
気に入ったからって高価なものをおねだりするほど図々しくないから。
でもコウはディスプレイされたの宝石を見る事なく真っすぐ店員のもとへと歩いて行く。
そして店員の前に行くと「小林です」と声をかけた。
すると店員は笑顔で「お待ちしてました。小林様。ささっ奥さまこちらへどうぞ」と言うと深々と頭を下げ、私にイスに座るように言う。
奥さまこちらへどうぞって…ええっ!どういうこと?
私は意味がわからず慌ててコウを見た。
「こ、コウ!?」
「いいから座って」
コウはそんな私を無視するかのように先にイスに座ると、私の腕をグイッと掴むと引っ張るようにイスに座らせた。
状況を把握できていない私は目を丸くしながらコウと店員を見るしかできなかった。
するとコウは私に向かって言った。
「ミウ左手出して」
「へ?あ…うん」
私はコウに言われるがままテーブルに左手を差し出した。
すると定員は「失礼します」と言うと何やら多くのリングを出すと私の薬指に1つずつ嵌めていく。
大きいサイズからだんだん小さいサイズへと指のサイズを測っているようだ。
そしてジャストサイズがわかると顔を上げ、嬉しそうに言った。
「小林様の言う通りでしたよ。これならサイズ変更する必要ありませんね」
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