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この電話の数日前、彼女が不安そうな顔をしていた。
それはとても深刻そうで。
仕事でそんな顔をしない彼女の表情は俺を心を揺さぶった。
…何かあったのかな?
俺はそんな彼女が心配でしょうがなかった。
だから終業後、彼女の話を聞く約束をした。
先にカフェに着いていた俺はカウンターに座るとコーヒーを飲みながら彼女が来るのを待っていた。
でも早く着きすぎたのか彼女が来る気配がない。
暇だった俺は薫に「これから彼女に会うんだ」とメールでもしようと思い、入力していると彼女が現れた。
「すいません。お待たせしちゃって」
深々と頭を下げる彼女に俺は携帯を閉じると「ううん。待ってないよ」と言った。
まだ入力し終わってないけど、彼女が来たからメールは後回しだと思ったからだ。
「で、何があったの?」
「えっと…」
彼女は言いづらいのか困った顔をするとしばらく黙っていた。
「ん?」
…言いづらいのか?
もしそうなら無理に言わなくてもいい。
せっかくだからこのままゆっくりした時間を彼女と過ごそうと思ってた。
すると彼女は軽く深呼吸するとポツリと話した。
「主人との事なんですけど」
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