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結局ジュエリーを選ぶわけでもなく、ただ結局私の指のサイズを測っただけだった。
その後コウは店の奥で店員と何やら話をしていたけど、離れ過ぎていて何を話していたのかわからない。
それに見ちゃいけない雰囲気もあったから他のジュエリーを見ながらコウを待っていた。
…でも何を話していたんだろう?
気になるけど、どう聞けばいいのかわからない。
だから店を出ると上目使いで見ながらコウの名前を呼んだ。
「ねえコウ」
「うーん…?」
コウは察したのか逸らかすように言う。
その顔は何かを隠しているようで、そんなコウを見ているといつもならイラッとするのに今日は違う考えが浮かんでくる。
…そっか。コウは私にプレゼントしたいんだ。
指のサイズを測るって事は…指輪だよね。
それに店の人が『これならサイズ変更する必要ありませんね』って言ってたし。
って事はそのワンショルダーのバックに入っているの?
うふふ。コウったら。
そう思うと顔が緩んで思わずニンマリとしてしまい「うふふ」と言ってしまった。
するとコウはそんな私を怪訝そうにじろじろ見ながら言った。
「何だよ急に笑って。気持ち悪い」
「う…」
コウの言葉、怪訝そうな表情を見ているとニンマリしていた気分も醒めてくる。
さっきの考えも違うのではないかと思ってしまう。
…気持ち悪いって何よ!
私はプイッとそっぽを向くとコウは私の手をぎゅっと握りながら言った。
「ミウ、何か腹減らない?飯食いに行こうぜ」
「何処に?」
「いいからいいから」
コウには心当たりがあるのか私の手を引っ張るようにどんどん歩き出した。
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