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お揃いの2つの指輪。
それは特に加工もしてなくシンプルなプラチナリングだった。
私は瞬時にこの指輪が何を意味しているのかわかると顔を上げてコウを見た。
「これ…って…結婚指輪?」
「そう」
コウは恥ずかしいのか照れながら返事をする。
その顔はいつも見る余裕な顔ではなくて…。
きっと指輪を買いに行った時もこんな感じだったのではないかと思ってしまう。
「…コウ」
私はそんなコウが可愛く思えて思わず名前を呼んでしまった。
するとコウは視線を外に移すと夜景を見ながら話しだした。
「俺達さぁ考えてみたら結婚したのに式も挙げてないし指輪もなかっただろ?」
「うん」
「それに今、俺の仕事が忙しくてなかなか会う時間が取れないから。またミウに寂しい思いさせちゃうから」
「…」
「これが俺の気持ち。ミウと夫婦である事を目に見える何かで証明したい」
そう言うとコウは私の方を見て優しく微笑んだ。
コウのその微笑み、気持ちが嬉しくて私の胸が幸せで満たされていく。
「…うん。…ありがとう」
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