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「ねぇコウ」
「ん?」
コウは呼ぶ声にやっと顔を見てくれた。
その顔はまだぼんやりしているけど、少し落ち着いた感じがある。
…良かった。
私はそんなコウに微笑みながら言った。
「がんばったね。お疲れさま」
コウはそんな私をきょとんとした顔で見たが、視線を下に移すと呟くように言った。
「…うん」
そして崩れるように私の肩に頭を乗せてきた。
肩にはコウの頭だけしか乗ってなのにずっしりと重みを感じる。
まるで緊張から解放されて抜け殻になった体を私に寄りかけているみたいに。
この重みからかなりの重圧がかけられていたんだなと思った。
…コウ。
かなりのプレッシャーだったんだね。
もう終わったんだよ。本当によく頑張ったね。
私は黙ってコウの手をぎゅっと握ると視線を天井に移しぼんやりと眺めていた。
…ねえコウ。
今回はダメだったけど、まだチャンスはいくらでもあるよ。
だから諦めないで。
それに私はずっとコウの味方だよ。
ずっとそばで応援するし、何でもするから。
コウの夢が叶うように…。
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