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「おやすみ」
「ん」
その夜は久しぶりにコウの腕の中で眠った。
セックスを求める事なく、ただゆったりとお互いの体温を感じながら。
そりゃあ抱かれたいって欲望もあるけど、もう遅い時間だし、明日も仕事だ。
コウだって毎日遅くまでがんばって疲れているから。
だからゆっくり眠らせてあげたかった。
それに今の私はコウと一緒にいるだけで十分だった。
最近は朝起きた時に隣にコウが寝ている時もあるけど、こうしてコウに抱きしめられている感触。
抱きしめる腕の強さ、温かさ。そしておやすみの言葉を言えた事。
…なんかいいな。こういうの。
私はそれだけで幸せだなぁと思うとコウの胸に顔をのせながらニヤニヤしていた。
しばらくすると頭の上からコウの声が聞こえてきた。
「ミウ寝た?」
真っ暗な部屋にコウの声だけが聞こえる。
その声はウトウトしていた私の意識を覚ましていく。
「起きてるよ」
私は半分意識が無い状態で答えた。
「あのさぁ」
「ん?何?」
「週末予定ある?」
珍しくコウに予定を聞かれて私の意識はいっぺんに覚めた。
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