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「えっ?ここ?」
私はコウに連れて来られた店の前で呆然と立ち尽くした。
ここって…。
コウに連れて来られた店、それは以前デートした時に偶然見つけたジュエリー店だった。
店内には上品そうな店員が至る所に立っていて他に客もいないし一度入ったら見るだけなんて許してくれなさそう。
外に飾ってあるショールームにはいかにも高価だろうと思わせる宝石がディスプレイされている。
後で聞いた話ではかなりの有名店で値段も高いものばかりを扱っているとか。
確かに前にコウとこの店のショールームを見たけど。
そんな事も知らずにあの時は「可愛いなぁ」なんて言ってたけど。
簡単に買えるものではなかったらしい。
でもコウは私の気に入ったネックレスをプレゼントしてくれたっけ。
あの時は凄く嬉しかったけど…。
でも今は私、欲しい物があるなんて何も言ってないし。
今日は何で来たの?
「そっ」
コウは全く動じる事なく言う。
まぁ前にこの店で買っているのだから慣れているのだろう。
私はこの店に来た理由も知らないし、高級店だからコウとは逆に怯んでいた。
「そっ…ってここ高いよ」
「いいから。入ろうぜ」
コウはそう言うと気兼ねなく一人店の中に入って行く。
「ちょ、ちょっと待ってよ」
私はそんなコウの後を追うように店の中に入って行った。
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