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気がつくとミウは何か言いたそうに俺を見ていた。
そして俺と目が合うと急に「じゃあ。オヤスミ」と言い立ち上がった。
その顔は恥ずかしそうで、急いで部屋に戻ろうとしているのがわかる。
俺はそんなミウを見ながら何を考えているのかわかった。
ははーん。コイツ、もしかして今朝の事を考えてたんじゃねーの?
俺と目があって恥ずかしそうな顔をするなんて、それしかないだろう。
自分でやっておきながら思い出して恥ずかしいなんて…な。
でもミウがそんな事をやるなんて…意外だ。
俺の知っている幼い頃のミウからは想像もできない。
大人になったって事か?
まぁキスできなかったのは残念だけど、おまえの努力は認めるよ。
俺は部屋に戻ろうとするミウを呼び止めた。
「ミウ」
「ん?」
…チュッ。
俺は振り向いたミウの頬にチュッとキスをした。
今朝のミウの努力に評して、俺からのお礼だ。
「努力賞」
俺は唇を離すと微笑みながら言った。
ミウは突然の事に驚いたのか目をパチパチしている。
「ななな…何?努力賞って」
その顔は意味がわかんないと言わんばかりだ。
そんなミウが可愛くて愛おしく感じる。
「さあな。オヤスミ」
俺はそう言うと手をひらひらさせながら部屋に戻って行った。
ミウに見えない様に満面に笑みを浮かべながら。
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