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「おはよう」
休みの日、いつもより遅く起きた俺がリビングに行くとミウは朝食の準備をしていた。
そして俺が来たことに気がつくと「おはよう」と声をかける。
起き抜けの俺は頭がボーっとしていて、ろくに挨拶ができない。
最近仕事が忙しくてほぼ毎日終電だったからな、そりゃあ疲れるよ。
でもこうしてミウと一緒にいられるのは朝食と休日ぐらいだ。
それに休日は殆ど一緒にいられるから寝ている時間がもったいない。
だからどんなに疲れていても朝は必ず起きるようにしていた。
椅子に座りぼんやりと宙を見ているとミウは新聞を差し出しながら言った。
「遅かったの?」
「ん」
俺は短く答えると新聞を眺めた。
でも興味のあるニュースがないからか、眠いからか見ても頭に入ってこない。
それにもう目の前には朝食の用意がしてある。
今日の朝食はトースト、サラダ、コーヒーだ。
俺は新聞をテーブルに置くとトーストにかじりついた。
そして食事が終わる頃、ミウが向かいの席から俺をじっと見ている事に気がついた。
「何?」
「なんか眠たそうだね。ご飯食べ終わったら寝たら?」
ミウは覗き込むように俺を見ている。
どうやら仕事が忙しい事を心配しているようだ。
「…出掛ける」
俺はぽつりと言うと持っていたコーヒーカップをテーブルに置き、また新聞を読み始めた。
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