悪戯 or 本気…?

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休日の夕方、リビングには誰もいなかった。 誰もいない代わりにムワッと熱気が襲ってくる。 このあまりにもの暑さに俺はラフな格好だった事をラッキーに思った。 …休日出勤で良かった。平日のスーツ姿ではこの暑さはこたえるからな。 それでもあまりも暑さに耐えられなかった俺はバルコニーの窓を思いっきり開けた。 その瞬間、外から心地よい風がスーっと体を通り抜けて、体中の体温を下げてくれる。 俺は室内の温度が下がってくるのを感じながら空を見上げた。 空はもう夕方だと言うのにまだ明るく、電気をつける必要がない。 …冬だとこの時間の空は真っ暗なのに、日が長くなったな。 俺はリビングに戻るとカバンから携帯電話を取り出し、メールの確認をした。 もしかしたらミウからメールが来ているかもしれないと思ったからだ。 そう。アイツは今日実家に行っている。 別に喧嘩をして家を出たわけではない。 何でもたまには家に遊びに来るように小母さんに誘われたらしい。 本当は俺も行きたかったが、不幸にも仕事が終わらずに出社しないといけない。 …折角のお誘いなのになぁ。 まぁ俺がいなくても、親子水入らずでいいだろう。 結婚してからは親子で話すって事も少なかったと思うし。 だからゆっくり親孝行して来いよと思ったけど…想像より早く帰る事が出来た。 だったら迎えにでも行くか。 今日は帰るって言ってたし、電車で帰るよりか車の方が楽だろう。 それに飯も今から行けば間に合う。 ミウの作る飯は旨いが、小母さんの飯も旨い。 やはり親子なのか、味付けが同じで好みも似ているようだ。 まぁ、小母さんの飯はこういう時はないと食べれないからな。 なんて小母さんの飯につられていくような事を言ってるが、そんなの適当な理由だ。本当はミウに会いたい。 顔を見てホッとしたい。声を聴いて癒されたい。 こうして家にいる時間ももったいない。 だから「今からそっちに行く」と短いメールを送ると車のキーを手にして家を出た。
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