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「帰りに酒屋に寄りたいから車で行くからな」
家の玄関を出ると俺は車のキーを見せながら言った。
ミウは俺の言葉にポカンと不思議そうな顔をした。
「うん。いいよ。ってもうないの?」
それはまるで初めて聞きましたって感じだ。
…って。おいおい。
コイツ冷蔵庫の中、見てんのか?
ビール入ってないだろ?気づいてないのか?
俺はそんなミウに呆れて「はぁ」と溜息をついた。
「ないの?っておまえさぁ」
無くなるのは…誰かさんが飲んでいるからだろ?
俺は最近帰りが遅いから飲んでいねーよ。
それに誰かさんは無いとギャーギャー騒ぐだろ。
「あ…私?」
ミウはやっと犯人が誰だかわかったみたいだ。
バツの悪そうな顔をしている。
「だろ?最近、俺一度も飲んでないのにもうビールないぞ」
「は…ハハハ」
「お前飲み過ぎ」
「…すいません」
「今日も箱買い。だから運ぶの手伝えよ」
俺はそう言うとゆっくりと先に歩き出した。
すると後ろから「了解です」とミウの声が聞こえたから振り向くと、こっちを向きながら敬礼をするような仕草をしていた。
…やっぱりコイツは面白いな。
そんなミウが面白くて俺は微笑むとまた歩き出した。
心の中で「ついて来い」と言いながら。
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