1%の可能性

4/13
前へ
/30ページ
次へ
「帰りに酒屋に寄りたいから車で行くからな」 家の玄関を出ると俺は車のキーを見せながら言った。 ミウは俺の言葉にポカンと不思議そうな顔をした。 「うん。いいよ。ってもうないの?」 それはまるで初めて聞きましたって感じだ。 …って。おいおい。 コイツ冷蔵庫の中、見てんのか? ビール入ってないだろ?気づいてないのか? 俺はそんなミウに呆れて「はぁ」と溜息をついた。 「ないの?っておまえさぁ」 無くなるのは…誰かさんが飲んでいるからだろ? 俺は最近帰りが遅いから飲んでいねーよ。 それに誰かさんは無いとギャーギャー騒ぐだろ。 「あ…私?」 ミウはやっと犯人が誰だかわかったみたいだ。 バツの悪そうな顔をしている。 「だろ?最近、俺一度も飲んでないのにもうビールないぞ」 「は…ハハハ」 「お前飲み過ぎ」 「…すいません」 「今日も箱買い。だから運ぶの手伝えよ」 俺はそう言うとゆっくりと先に歩き出した。 すると後ろから「了解です」とミウの声が聞こえたから振り向くと、こっちを向きながら敬礼をするような仕草をしていた。 …やっぱりコイツは面白いな。 そんなミウが面白くて俺は微笑むとまた歩き出した。 心の中で「ついて来い」と言いながら。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1068人が本棚に入れています
本棚に追加