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「コウ。ちょっと待って」
車をレストラン近くの駐車場に止めて、歩いている途中にミウはピタッと突然足を止めた。
俺は予約の時間もあるし急いだ方がいいのでは?と思ったが、ミウは動こうとしない。
目の前にあるデパートのショールームに被りつく様に見入りながら言った。
「うわぁ。可愛い」
それはジュエリーショップで、飾ってあるネックレスが気に入ったらしい。
宝物を見るような目で見ている。
ハート形をモチーフにしたホワイトゴールドのネックレス。
そのハートの中には小さなダイヤがあり、キラキラしている。
俺は被りつく様に見入っているミウに付き合うように一緒にネックレスを見る。
「こういうの好きなんだ?」
「うん。次のお給料入ったら買っちゃおうかなぁ」
「ふーん」
「自分へのご褒美みたいなね」
「ご褒美かぁ。それいいな」
「でしょでしょ。って…あ!そろそろ時間だよ」
ミウは時計をチラッと見ると慌てた顔をしながら言った。
どうやら予約の時間までもう時間がないらしい。
ったく。自分で立ち止まって見入っていながら時間がないって…。
コイツ子供みたいだな。
でもそんなミウが可愛く感じて微笑んでしまう。
「そうだな」
俺はそう言うとミウの手をぎゅっと握り小走りでレストランへ向かった。
レストランに向かいながら俺はある事を思っていた。
…そういやミウにプレゼントした事ないな。
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