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ミウの言葉で理沙との会話が止まる。
俺は突然、ミウが話に割って入ってきた事に驚いた。
コイツの性格からしてこういう事はしないのに…どうしたんだ?
理沙と俺はそのままミウを見た。
視線の先のミウは困惑した顔をしている。
きっと話を止めてしまった事、俺と理沙が同時に見た事に戸惑っているのだろう。
するとミウは申し訳なさそうに言った。
「私…先に帰るから、良かったらあとは二人で話でもどうですか?」
「は?ミウ?」
俺はミウの言葉が信じられなかった。
先に帰る?二人でどうぞ?
って…何言っているんだよ!
俺は理沙とではなくミウと一緒にいたいんだよ。
でもミウは俺の気持ちがわからないみたいだ。
ニコッと笑うと妙に明るい口調で言った。
「本屋の後は帰るだけだったじゃない。それに久しぶりに会ったんでしょ?ごゆっくりどうぞ」
口調は明るくてまるで「私はお邪魔だよね」と言っているようにも思える。
俺はそんなミウを見ながら背筋がゾクッとする感じがした。
ミウはもしかしたら勘付いたのかもしれない。
俺と理沙の関係に。
だから気を使って俺達を二人きりにしようとしている。
俺は「何言っているんだよ」と言おうとすると、ミウは理沙にペコリと会釈をした。
そしてクルッと振り返ると手をひらひらさせながら歩き出す。
「お…おいっ!」
俺は咄嗟に歩き出したミウを呼び止めた。
でも俺の声はミウに届かない。
ミウは振り返りせずに本屋から出て行ってしまった。
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