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「奥さんも言ってくれた事だし、カフェにでも行って…」
「悪い。俺もう行くわ」
俺は理沙の話を遮るように言った。
これ以上ここにいるわけにはいかない。
ミウに会って話をしないといけないから。
時間が経てば経つほどミウがどんどん離れて行ってしまう。
1分1秒と俺から遠くなっていく。
体も心も。
せっかく近づいてきたミウとの距離が離れてしまう。
俺達の関係が壊れてしまう。
ただの幼馴染にいやそれ以下になるかもしれない。
ダメだ。それだけは避けたい。
俺は理沙に背を向けると外に向かって歩き出した。
そしてそのまま本屋を出ようとする。
「えっ?ちょ、ちょっと孝!」
俺が行くと言ったのが意外だったのか理沙は慌てて俺を呼び止めた。
その声に俺は一旦足を止めると振り向き理沙を見た。
理沙は俺が止まった事に安心したのかホッとした顔をしている。
きっと考え直して一緒にカフェに行くと思ったのだろう。
そんなわけないだろ。
挨拶していなかったから止まっただけだ。
「それじゃあ」
俺は無表情のまま言うとミウを追いかけるように本屋をあとにした。
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