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「あなた達のお布団、2階の和室に用意したから」
小母さんの言葉の通り和室には布団が二つ並んでいた。
「明り消すよ。おやすみ」
ミウは俺と一緒の部屋が不満だったのか、部屋に入るとさっさと照明のスイッチに手をかけた。
先の布団に入っていた俺は「ん」と短く答える。
ミウは俺の返事を聞くとパチンと明りを消した。
部屋は真っ暗になり、当然だが物音一つしない。
だから俺は寝ようと思い目を閉じるが、なかなか寝付く事ができない。
その理由もわかっている。隣にはミウが寝ているから。
手を伸ばせば触れる距離にいる。
しかもこの部屋には俺たち二人以外誰もいない。
そう思うと気になってなかなか寝付く事が出来なかった。
それはどうやらミウも同じだったらしい。
背後からそっと様子を伺おうとしているのが気配で分かった。
でも俺が背を向けて動かないから寝ていると思ったのだろう。
少し見るとすぐに自分の布団に戻っていった。
俺はそんなミウの行動を感じながら心の中で溜息をついていた。
きっとコイツの事だから俺が寝込みを襲うと思っているんじゃないか?
額にキスしてからやたらと警戒しているし。
きっとそうだ。
…そんな事ないのにな。
ああ、それにしても寝付けない。
俺はごろんと寝返りを打つと目の前にミウの気配を感じた。
考えてみるとミウもまだ起きている事だし、そんなに慌てて寝る事もないよな。
だから俺は布団の中に入ったままミウに声をかけた。
「寝れないのか?」
真っ暗闇な静寂の中に俺の声だけが響き渡った。
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