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ミウはしばらく黙ったまま返事をしなかった。
俺はミウがどんな表情なのか気になったが、部屋が真っ暗でどんな顔をしているかわからない。
でもだいたいの想像はつく。きっと怒っている。
初夜の時もそうだったし、ミウはこういう時は拒否していたしな。
「私たちそういう関係じゃない」って。
でもいつもは即答だったから、この間は…何だ?怖いな。
もしかしたら思いっきり殴られる?
セクハラって!!
「…で…き…ない」
しばらくの沈黙の後、ミウは声を震わせながら言った。
俺は想像していた事以外の返事に驚いていた。
…えっ?できないって…セクハラの間違いじゃないのか?
いつものミウならてっきり殴られると思ってたのに…こんなに声を震わせて…。
きっと怯えているのだろう。
おいおい。悪戯なんだから、真剣に答えるなよ。
…ゴメンな。嫌な思いをさせて。
俺はミウの布団に手を伸ばして頭を撫でようとしたが、その手を止めた。
ここで触れたらミウはもっと嫌がるだろう。
ただでさえ、嫌な思いをしているのに更に気分を悪くさせたくもない。
だから俺はこの空気を変えるように、いつもの口調で言った。
「できないってお前バカじゃねえの?真剣に答えるなよ」
「バ、バカって!もう年下のくせに」
さっきまで怯えていたはずのミウはバカって言葉に反応したのか、怒った口調で返してきた。
その口調は怒っているけど、いつものミウだ。怯えてる様子もない。
うん。コイツはこうでないと。
俺はいつものミウに戻っている事に安心した。
それに悪いけど、俺は年下じゃねーよ。
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