931人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が駅に着くと駅前は静かであまり人がいなかった。
いるのはサラリーマンか酔っぱらいか。
こんな所を酔っぱらったミウが一人で歩くと思うと…やっぱり心配だ。
俺はガードレールに腰かけるとミウが来るのを待った。
すると次の電車が到着したようで駅からどんどん人が流れていく。
その中にやたらと早歩きでこっちに向かってくる女がいた。
もちろんミウだ。
ミウは急いでいるのか俺に気づかずに通り過ぎようとする。
俺は通り過ぎた所でミウに声をかけた。
「そこの酔っ払い」
ミウは突然声をかけられて驚いたのかビクッとすると、恐る恐る振り返った。
そして声の主が俺だと分かるとホッとした顔をした。
「あ…コウ」
「ったく沢山飲んだな?顔真っ赤」
ミウの顔は真っ赤で沢山飲んだ事がよくわかる。
それを指摘された事が嫌だったのか、ミウは思いっきり否定したかと思えば話を変えてきた。
「そ、そんなに飲んでないって。でもさっきも会ったのにまた会うなんて凄い偶然だね」
「偶然じゃねーよ」
「えっ?」
「帰ろうとした時におまえのメールに気がついてさ。ここで会えるかなって思って」
「もしかして待っててくれた?」
ミウは待ってた事に驚きながらも恥ずかしそうな顔をした。
そう。偶然なんかじゃない。
おまえのそんな顔が見たかったんだよ。
「たまにはいいだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!