930人が本棚に入れています
本棚に追加
『なんで抱きしめてたの?』
俺はミウの質問にどう答えるか迷った。
…そんなの決まっている。おまえが好きだから抱きしめた。
なーんて、言いたいが言えるわけない。
それは今こうしてミウと話ができているが、実は昨日の事がまだ頭から離れていないから。
きっとミウも同じだろう。
そんな状態で言ってもミウは信じないだろう。
逆に「何言ってんの?」って突っ撥ねてしまうかもしれない。
それだけは嫌だ。
せっかくの雰囲気を壊したくない。
だから俺はこの雰囲気を壊さない様に嘘を考えた。
「それ俺に聞く?」
「えっ?どういうこと?」
「聞いてショック受けなければいいけど」
俺はそう言うと挑発的な顔をした。
ミウはそんな俺の表情に困惑した顔をする。
「な、何?」
「おまえが俺に抱きついてきたんだよ」
「マジで?」
「マジで。他に誰がいるんだよ」
俺はわざと「はぁ」と大きく溜息をつきながら呆れた顔をした。
嘘。そんなわけないだろ。
でも悪いな。これは突き通さないといけないんだ。
最初のコメントを投稿しよう!