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「…高科」
俺は高科の名前を呼ぶとギリッと歯を鳴らした。
高科の飄々とした態度にイラッとしたからだ。
…アイツ悪びれた様子もない。
でも電話の向こうの高科にはそんなの通じていないみたいだ。
あっけらかんとした態度で話を進めてくる。
「理沙さんから聞きましたよ。計画は失敗だって」
「失敗っておまえ…。何をしたかわかっているのか?」
「もちろんですよ。先輩夫婦を離婚させるのが目的でしたからね。でもあの人も詰めが甘いなぁ、だから失敗するんですよ」
高科は他人事のように言うと「あはは」と乾いた笑いをした。
俺はそんな高科に違和感を感じた。
てっきり理沙の言う通りに動く下僕だと思っていたのに。
まるで別の目的の為に動いていたように聞こえる。
…コイツ何を考えていたんだ?
「おまえ…一体何を企んでいたんだ?」
俺は眉間に皺を寄せながら言った。
すると高科は間を空ける事無く返事をする。
「復讐ですよ」
「復讐?」
「理沙さんと小林先輩、あなた達が不幸になればそれで良かった」
高科のその言い方はサラッとしているが重みを感じる。
俺はその言葉を聞いた瞬間、胸がゾクリとした。
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