失意の先にあるものは?

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俺は着信音が聞こえると同時に電話を見た。 普段、滅多にならない固定電話が着信を告げる大きな音と共にピカピカ光っている。 「ん?珍しいな」 最近はほとんどが携帯電話でのやり取りだから、家の電話が鳴るなんて珍しい。 と言う事は知り合いじゃないな。 何か勧誘か? だったら出る事ないよな。出てもいい事がない。 しばらく待っていると留守番電話のガイダンスが流れ始めた。 すると慌てて電話が切れる音がする。 どうやら相手は留守番電話に伝言を残す気がなかったみたいだ。 伝言を残すほどの用件が無いとは…やはり勧誘だ。 …ったく。面倒くせぇ。 電話に出ないで良かった。 すると、また家の電話から着信音が聞こえてきた。 立て続けに電話が鳴るなんてそうはない。 きっと同じヤツだ。 勧誘のくせに…。 「しつこいなぁ。何だよ」 俺はイラッとしながら立ち上がると電話へと向かった。 電話は切れる事無く鳴りつづけている。 「もしもし?」 俺はいつもより無愛想に電話を取った。 もし勧誘だったらこの声のトーンに怯むだろう。 この人怒っているって早々と電話を切るだろう。 俺の予想が当たったのか、電話の向こうからどこか遠慮気味の女の人の声が聞こえてきた。 「夜分遅くすいません。私…伊集院と申します」 この電話が俺とミウの今後に関わってくるものだと、この時点では思いもよらなかった。
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