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全ての客から無事注文を取り、オーダー票をまとめたものを彩加に託す。
彩加が張り切って視聴覚室から出て行くと、わたしはほっと息をついた。
これで、家庭科調理室にいる仲間たちがドリンクを作って運んで来てくれるまで、しばらく休憩できる。
「忙しそうだね」
待機所に戻ると、先生がにっこり笑顔で迎えてくれた。
「おかげさまで…。彩加の呼び込みが、効いたみたいです」
「そうらしいね。大繁盛だって聞いて、何か手伝おうと思って来てみたんだけど、…俺の仕事は無いみたいだから、戻るよ」
「あ、…はい…」
…戻っちゃうんだ。
落ち着いたから、ちょっと話せるかなって、思ったのに。
わたしががっかりしていると、先生は頭にそっと手のひらを乗せ、
「…お前、午後、自由時間あるだろ」
「…あ、はい、2時間だけ…」
「1時から、教職員のブースで俺がたこ焼き焼くんだけど、…よかったら、手伝いに来てくれないかな」
自分の顔が、ぱあっと輝いたのが分かる。
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