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「七不思議喫茶でーーーっす。よろしくおねがいしまーーーっす」  人混みの中、飾りつけを施された校門の傍で呼びこみをする、ウエイトレス姿のトモコ。  後ろから近づいて行くと、やけに鼻にかかった声が耳に入って来た。 「映画『学園七不思議』上映中でーーーす。美味しいお飲み物もお出ししてまーーーす」  よく聞くと、声は掠れ、息も切れ、かなり疲れきっているのが分かる。  わたしと彩加は顔を見合わせ、苦笑した。 「トーモコッ。お疲れさま。交代の時間だよっ」  彩加がポン、と肩を叩くと、トモコは限界越えの顔で振り向いた。 「…よ、良かったあ、…あと5分で電池切れするところだった…」  膝に手をつき、身体を屈める。  衣装の短いスカートの裾が持ち上がり、ペチコートのフリルが丸見えになったので、わたしは慌ててトモコの後ろ側に回り、裾を押さえた。 「がんばったね、トモコ。…あれ、マリは?」 「そうそう!!聞いてよっ」  トモコは泣きそうな声で言った。 「カレシが来たとたん、ちょっと抜けるね、とか言って、手つないで消えちゃったんだよっ!!わたし一人残して、酷いと思わないっ?」  文化祭初日の土曜日。  10時の開門と同時に、校内はたちまち、たくさんの一般客で溢れ返った。  まだ午前中だというのに、スタートからなかなかの賑わいを見せている。
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