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「えっ…?」
私は高科さんが言っている意味がわからなかった。
話を始めるってどういう事?
この状況を理解できない私はポカンと口を開けて高科さんを見ていた。
高科さんはそんな私を見ながらクスッと笑う。
「神野さんは来ませんよ」
「…来ない?」
「彼女は都合が悪くなって来れなくなりました。だから僕が代りに話を聞きます」
「どうしてあなたが?だって会社…」
私は高科さんの口から理沙さんの名前が出てきた事に驚いた。
理沙さんは来ない。でも高科さんが代わりに聞くって…。
だってあなたはコウの後輩でしょう?
それなのにどうして?…理沙さんと繋がっていたの?
私は家に遊びに来た時の高科さんから今の状況がどうしても理解できなかった。
すると高科さんはフフッと笑うと言った。
「ああ。僕、あの会社を今月いっぱいで辞めるんです」
その顔は「これでわかったでしょ」って言っているように見える。
…そっか。この人は理沙さんの会社に行くんだ。
だからこうして私に話を聞きに来れるんだ。
でも…。
「辞めるって…。その事は…コウは知っているの?」
「多分知らないでしょうね。まぁそんなのどうでもいいですけど」
高科さんは私の質問に興味なさそうに答えた。
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