私があなたにできる事

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私は高科さんの言葉に狼狽した。 二人はベッドの中って…。 その瞬間二人が抱き合っているシーンが頭に浮かんだ。 「う、嘘…」 「まぁベッドというのは言い過ぎかもしれないけど、二人は一緒にいます」 「だって理沙さんは…あ…」 ここにいない。 都合が悪いから来れないって…。 だから高科さんがいるんだけど、もしかして…。 すると私の考えている事がわかるのか高科さんはニヤリとしながら言った。 「沖縄」 「…沖縄」 私は呟くように小さな声で高科さんの言葉を繰り返した。 「先輩に会いに行ってます」 …理沙さんがコウに会いに沖縄に行っている。 そして再会した二人は今ベッドで…。 違う!そんな事ない! 仮に理沙さんが沖縄に行ったとしても、今、二人が一緒にいる訳がない。 コウを信じたい。 「そんな事…ない!」 そう言うと私は認めたくない思いから頭を横に何度も振った。 頭に浮かんでいる二人を消し去るように。 高科さんはそんな私を見ながら「やれやれ」と呟くと面倒臭そうに言った。 「じゃあ電話してみればいいんじゃないですか?まぁ出るとは思いませんが」 …電話。 そうだよ。コウに電話すればわかる。 私はそう思うと慌てて鞄から携帯電話を取り出した。 そしてコウのアドレスを探すと発信ボタンを押す。 すると呼び出し音が聞こえてきた。 私はその音を聞きながら祈った。 …コウお願いだから電話に出て。
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