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「でもあなただって好きで結婚した訳じゃないですよね?」
「えっ?」
私は結婚の事を言われて驚いた。
そう言えば理沙さんも私達が偽装結婚だったって知ってたけど…。
どうして知ってるの?
すると高科さんは驚いている私を見ながらニヤリとした。
「だってベッド別ですもんね」
「あ…」
その瞬間、家に遊びに来た時に事を思い出した。
確か田中さんの奥さんが赤ちゃんのおむつ替えで私の部屋を使った時にベッドが別って話をしてた。
きっと高科さんはその話を理沙さんにしたんだ。
新婚の夫婦がベッドを別にするのはおかしいって。
それに理沙さんの独立時の話。
この2つの話が重なる時、偽装結婚だとわかったんだ。
そっか…この人は遊びに来たんじゃなくて探りに来てたんだ。
「まぁどういう理由があったのかわかりませんが、お互い様ですね」
私はその言葉に否定も肯定もできなかった。
そうだ。私達はお互いの利益の為に結婚した。
それは覆す事が出来ない事実。
私が何も言えないでいると高科さんは話しだした。
「もういいですよね?返事はあえて聞きません。話を進めます」
「…はい」
私は素直に応じた。
真実を知った今、もうこれ以上言い合っても意味がないから。
「では場所を変えましょうか?」
「えっ?」
「ホテルの部屋を取っています。そこで今後の話をしましょう」
そう言うと高科さんはスッとホテルのルームキーをテーブルに差し出した。
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